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2020 年度 実施状況報告書

細胞シート工学を応用した乳歯歯髄幹細胞による唇顎口蓋裂患者の新規顎裂治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K20604
研究機関奈良県立医科大学

研究代表者

柳生 貴裕  奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (00555550)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2022-03-31
キーワード骨再生
研究実績の概要

ゼラチンに各種成長因子(bFGF, PDGFなど)を複合化させることで、ドラッグデリバリーシステム(DDS)による新たな骨再生治療法の検討をin vivoで行った。モデルは既報告を基にラット抜歯窩治癒不全モデルを用いた。経静脈的にビスフォスフォネート製剤を投与したラットの下顎臼歯を抜歯後に規格化したフィッシャーバーで骨削除し骨欠損を作製した。実験群では成長因子含有ゼラチンを抜歯窩に填入し閉鎖創にした。コントロール群では何も填入せず閉鎖創にした。抜歯後1週、4週、8週目に肉眼所見による抜歯窩の治癒状況の半定量評価、抜歯後8週目に骨再生についてマイクロCTを用いた定量評価、組織学的な定量評価を計画した。
実験群では経時的に抜歯窩の治癒が確認できたが、コントロール群では抜歯後4週目から明らかな潰瘍形成がみられ、抜歯後8週目には排膿を伴うものもみられるなど治癒不全を認めた。半定量評価ではあるが、治癒経過に統計学的な有意差を認めた。マイクロCT評価では、実験群では抜歯窩に明らかな新生骨形成がみられたが、コントロール群ではほとんどみられず、腐骨形成を伴う症例もあった。新生骨形成量を定量評価したところ、統計学的な有意差を認めた。現在各種標本を作製中であり、組織学的な評価はまだ完了していないものの、成長因子を複合化させたゼラチンは新たな骨再生治療法となりうる可能性が示された。本材料は物理学的な強度は劣るものの賦形性に富むことから、複雑な形態を示すことが多い顎裂治療に応用可能と考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

組織学的な評価まで完了する予定であったが、新型コロナウイルス (COVID-19)に対する感染対策等により、実験を行うことができない期間があった。そのため、計画通りに研究を遂行することが困難であった。

今後の研究の推進方策

in vivo実験にて予定していた匹数の検体採取は完了し、組織学的な評価以外の評価も終了している。今後は各種の組織学的標本の作製を行い、分子病理学的手法による抜歯窩治癒状況の評価を行う。更に本材料の骨再生を促す機転を見出すためにケラチノサイト、ファイブロブラストを用いたin vitro実験を行い、本材料の有効性、安全性の検証を行う予定である。再生医学的アプローチを用いることで自家骨移植に寄らない低侵襲な顎裂治療法の開発に向けて研究を更に進めていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス (COVID-19)に対する感染対策等により、延期せざるを得なかった実験を次年度に行う。当該年度までに採取している検体から組織学的標本を作製し、ISH、FISH等による分子病理学的手法を用いた抜歯窩治癒状況の評価を行う。また、ケラチノサイト、ファイブロブラストを用いたin vitro実験を行い、それらの細胞に及ぼす新規骨再生材料の影響を検討する。

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公開日: 2021-12-27  

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