研究課題/領域番号 |
16K20614
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
青山 謙一 東海大学, 医学部, 助教 (10647530)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 口腔扁平上皮癌 / NOTCH1 |
研究実績の概要 |
口腔癌標本由来NOTCH1変異の機能解析を行っている。A465T変異は、細胞膜への局在の低下、活性化NOTCH1の核内局在の低下、下流因子のmRNA発現レベルの低下を示し、経路の活性低下がみられた。また、A465T発現細胞は、細胞増殖能力が低下し、ヌードマウスへの移植実験では生着率がコントロールに比較して低かった。以上の結果を、Oncology Reportsという海外誌に投稿中である。 現在、次世代シークエンサーにより口腔癌臨床標本に対する大規模遺伝子解析を行っている。プレ実験として、申請者らがサンガー法で解析して報告したNOTCH1の変異(青山ら BBRC2014)を陽性コントロールとして上記ライブラリーを用いて腫瘍部を×200・正常部を×100の平均カバレッジ深度になるようにシークエンスした。その結果、正常部に全く認められない1塩基変異が腫瘍部でのみリード数の65%の割合で認められ、P値は 3.4×10-27と非常に高い信頼度のデータを得られた。この結果は非常に純度の高いものであり、同カバレッジ深度でヘテロ接合性の消失(loss of heterozygosity: LOH)も信頼度が高く評価が可能である。本年の日本癌学会で発表予定である。 また、臨床標本の組織切片に対して、NOTCH1、EGFR、変異P53などの免疫組織化学染色による発現解析も行っている。 最終年度も引き続き解析を継続する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
口腔癌臨床標本由来の変異NOTCH1の機能解析、臨床標本に対する大規模遺伝子解析については、本学分子生命科学教室の協力のもと順調に遂行されている。また、所属教室では多くの手術症例があり、標本の収集も順調である。
|
今後の研究の推進方策 |
現在までに、遺伝子解析およびNOTCH1変異の機能解析については、当初の予定通りに進んでいる。 最終年度には、大規模遺伝子解析を100例程度行い、報告することを目標としており、現在シークエンサーでランする前段階にある。その結果と臨床情報とを統計学的に照合する予定である。また、変異NOTCH1の解析については、現在1変異のみ海外誌に投稿中であるが、他の変異についても発現細胞を樹立している。同様の手法で数変異について解析し、さらに口腔癌におけるNOTCH1変異の意義について解明できると考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次世代シークエンサーによる解析が、市場の変動によりキットが安価に購入できたことにより差が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
標本数を増やしてシークエンスを行い、使用する予定である。
|