研究課題
唇顎口蓋裂患者由来iPS細胞の骨芽細胞誘導14日間後、アルカリフォスファターゼ染色とアリザリンレッド染色を追加検討したところ、コントロール群と比較して誘導群は陽性反応を認めた。in vitroでの研究結果において硬組織形成能が示唆されたため、本年度は予定通りに動物実験に移行した。実験動物はヌードラットの頭蓋骨骨欠損モデルを使用した。10週齢のヌードラットに頭蓋骨臨界サイズ欠損モデルを作成し、誘導した骨芽細胞を足場材料とともに填入した。手術時の操作性・安定性を考慮し、足場材料は固形物が妥当と考えた結果、アテロコラーゲン材料を使用した。アテロコラーゲンは骨欠損部と同等の幅径とした。アテロコラーゲン群とアテロコラーゲン・細胞移植群の2群間で比較検討を行い、マイクロCTによる画像解析ならびにヘマトキシリン-エオジン染色による組織学的評価を行った。画像評価にて細胞移植群は骨欠損領域に散在性に硬組織様構造物の存在を認めた。また、組織学的には、コントロール群と比較して細胞移植群では骨切断面からの新生骨形成ならびに切断面周囲の骨添加像を認めた。今回の細胞移植実験では、当初自身が想定していた骨再生は得られなかったため、今後細胞移植に適した骨誘導能を有する足場材料等の組み合わせ検討が必要と考える。本研究では助成研究資金の関係上、足場材料やサイトカインの組み合わせ実験を行うことができなかったので今後の研究課題とするが、唇顎口蓋裂患者由来iPS細胞から誘導した骨芽細胞が新たな骨再生療法の細胞源として有用である可能性が示唆された。
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Stem Cell Research & Therapy
巻: - ページ: -
10.1186/s13287-017-0754-4
歯科学報
巻: 117 ページ: 323-326