H29年度は、H28年度の細胞実験で確認されなかった骨芽細胞/歯骨細胞におけるChgA活性機構への細菌因子(LPS)の関与、そしてiNOS産生機構の解析に加えてChgA遺伝子近年NBP(窒素含有ビスフォスフォネート製剤)の後継として普及するもNBP同様に顎骨壊死の発症が多数報告されている抗RANKLモノクローナル抗体製剤処理によるChgA活性機構への影響を検証した。 ①骨粗鬆症治療薬とLPS複合処理時のChgA活性機構への関与 マウス骨芽細胞株:MC3T3-E1細胞とマウス由来マクロファージ様細胞:RAW264.7細胞に対し、S.mutans由来LPS単独処理、骨粗鬆症治療薬(NBP・抗RANKL製剤)単独処理、LPS+骨粗鬆症治療薬による複合処理を行った。前年度の結果を踏まえ実験方法や解析手順を見直した。結果はMC3T3-E1/RAW264.7は対照と比較しLPSや骨粗鬆症治療薬単独処理時そして複合処理時にChgA遺伝子の発現上昇が確認された。特に骨芽細胞におけるLPSと抗RANKL製剤の複合投与時に強いChgA遺伝子の発現が確認された。 ②ChgA遺伝子ノックアウト時のiNOS産生機構の解析 MC3T3-E1とRAW264.7に対しLPS単独、骨粗鬆症治療薬単独そして複合処理を行った。一方の群にはChgA Si-RNAによるノックアウト処理を行った。両群をiNOS産生の指標となるNF-kB p65のリン酸化産生量を測定し解析した。抗RANKL製剤処理を施した骨芽細胞で特に強いNF-kB p65の発現が確認された。一方でChgAノックアウト群では著しくNF-kb p65リン酸化発現量が抑制された。ChgAノックアウト群内でも破骨細胞ではLPSや骨粗鬆症薬投与時の方がiNOS指標の発現量が上昇していた。
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