研究課題/領域番号 |
16K20628
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
福島 久夢 北海道大学, 歯学研究院, 専門研究員 (10632408)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 歯学 / 乳歯歯髄幹細胞 |
研究実績の概要 |
再生医療における組織再生を実施する上で、必要な幹細胞は、遺伝子導入によって得ることが可能なiPS細胞を別として、多くの場合は生体内の各組織中に存在している体性幹細胞を採取することによって初代培養株を樹立し、さらに継代を重ねて増殖した継代細胞を用いることになる。しかしながら、継代を重ねるごとに幹細胞としての分化能力が劣化することが知られている。 本研究では、乳歯歯髄幹細胞における継代の影響について検討を行った。培養系における実験において乳歯歯髄幹細胞においても、継代を重ねるたびに骨芽細胞の分化マーカーとされるRunx2、Osterix、 Msx2、Dlx5、Twist、AP-1などの転写因子の発現が低下することが判明した。さらに、乳歯歯髄幹細胞の移植実験(免疫不全マウスの頭頂部に人為的に作成した骨欠損部位を作成し、乳歯歯髄幹細胞を移植した)において、継代を重ねることによって骨芽細胞の分化マーカーの発現が低下した乳歯歯髄幹細胞においもても、造血幹細胞と共に骨欠損部位に移植することで骨組織が再生することが判明した。つまり、乳歯歯髄幹細胞における分化能の可塑性は造血幹細胞によって起こすことが可能であることが示されたことから、この可塑性についてWnt/β-カテニンにおけるシグナル伝達経路が関与しているかについて検討を行った。その結果、継代を重ねた乳歯歯髄幹細胞に対して造血幹細胞を作用させることで、Wnt/β-カテニンシグナル伝達経路が活性化していることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に沿って順調に研究が進んでいる。Wnt/β-カテニンシグナル伝達経路を活性化によって引き起こされた分化能の可塑性が、造血幹細胞を作用させた場合においても引き起こされていた。
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今後の研究の推進方策 |
肉眼的、エックス線的評価、組織学的評価を行うことにより、最も骨組織再生療法に適した細胞、増殖因子、足場の組み合わせを選択する。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品費においてキャンペーン品や特別価格などがあり、当初予定額より支出が抑えられ、経費の節約ができ、次年度使用額が生じた。未使用額296,829円については、平成30年度の実験のための消耗品費に使用する。
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