研究課題
歯科矯正臨床において、不正咬合治療に必要な歯の移動は、歯への矯正力を生物的な刺激に変換し生じる歯槽骨の吸収と形成(骨リモデリング)により引き起こされる。骨組織に最も多く存在する骨細胞はメカニカルストレスに応答するだけでなく、そのアポトーシスが骨吸収に関与する可能性も示唆されているが、詳細なメカニズムは不明である。本研究では、骨リモデリングにおける骨細胞の機能解明に向け、メカニカルストレスにより惹起される骨細胞アポトーシスの分子メカニズムを明らかにすることを目的に、骨細胞に発現しメカニカルストレスに応答するCCN2およびアポトーシス誘導因子p53に着目し、分子生物学的解析を行った。本年度はin vitroにおいて骨細胞様細胞株MLO-Y4へのメカニカルストレス負荷時のCCN2、p53発現の変化とアポトーシス誘導について解析を行った。MLO-Y4をシリコンチャンバーに播種し、生化学用伸展装置を用いて6時間まで圧縮力を負荷した。圧縮力負荷後、MLO-Y4の細胞形態には著明な変化は認められなかった。ウェスタンブロット法を用いて、CCN2、p53、アポトーシス関連因子BaxおよびCaspase-3のタンパク質発現量を解析した。その結果、CCN2、p53およびBaxは圧縮力負荷後に増加傾向を示し、Caspase-3は時間依存的に増加傾向を示した。以上より、骨細胞への圧縮力負荷はCCN2およびp53の発現を誘導し、アポトーシスを促進するカスパーゼシグナルを活性化する可能性が示唆された。
すべて 2017
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J Bone Miner Metab.
巻: 35 ページ: 40-51
10.1007/s00774-016-0737-z.