研究課題
本研究は糖尿病治療薬剤であるDPP-4阻害薬(dipeptidyl peptidase-4)を用いて破骨細胞形成および矯正学的歯の移動への影響について検討したものである。購入したマウス(C57BL6/J)の頭蓋骨に5日間毎日LPS100μgおよびDPP-4阻害薬であるLinagliptin(1mg/kg)を注射し、6日目に屠殺し組織学的検討を行った。その際、同時にマウス眼窩静脈叢よりマウスの血液を採取し、遠心分離後に血清を採取した。取り出したマウス頭蓋骨をマイクロCT撮影を行い骨吸収について検討を行った。マイクロCT画像から、マウス頭蓋骨がLPS100μgを投与した場合で高い骨吸収が起こることが認められたが、LPSと同時にLinagliptinを投与した頭蓋骨では骨吸収が抑制されることを認めた。これらのことからDPP-4阻害薬であるlinagliptinが骨吸収に影響を与えることが示唆された。さらに採取した血液より、骨吸収マーカーであるCTXについて検討を行っていく予定である。また、マイクロCT撮影後、マウス頭蓋骨を脱灰、包埋を行い組織切片の作製を行った。この組織切片を用いてTRAP染色し、今後破骨細胞数のカウントを行う予定である。さらにマウスの頭蓋骨からRNAを採取し、cDNAを作製しリアルタイムPCRにて破骨細胞マーカーの解析を行っている段階である。今後はさらに破骨細胞形成必須因子であるRANKLの発現についても同様に順次解析していく予定である。また、DPP-4阻害薬の破骨細胞形成に対する in vitro の解析では、DPP-4阻害薬はダイレクトな影響がないことが示唆された。
3: やや遅れている
予備実験で破骨細胞マーカーを解析するリアルタイムPCRの値にバラツキがあった。そのため、予備実験でDPP-4阻害薬であるLinagliptinの濃度の再設定を行う必要が出てきたこと、試薬への取り扱いへの対応するのに時間がかかってしまった。
今後であるが、骨吸収画像の解析結果より骨吸収を抑制することが確認が取れたので、このまま組織切片からTRAP染色をし破骨細胞数の確認、またin vivoで破骨細胞マーカーの発現について順次解析していく予定である。さらにin vivoの実験後in vitroでの破骨細胞形成にどのように影響があるのか速やかに検討していく予定である。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
Immunol. Lett
巻: 175 ページ: 8-15
10.1016/j.imlet.2016.04.004