研究課題
最近の研究でGPR120遺伝子が欠損したマウスで肥満や脂肪肝などが発生し、GPR120が肥満に関与していることが発見された。また、GPR120は破骨細胞前駆細胞に多く発現しアゴニストである脂肪酸が結合するとNF-κB のシグナル経路を抑制し、それに付随してNFATc1(破骨細胞形成マスター転写因子)のダウンレギュレートを起こして破骨細胞形成を抑制することが分かった。これらのことから、GPR120が破骨細形成に影響を持つことから矯正学的歯の移動にも影響することが予想される。そこで本研究では、GPR120とTNF-αによる破骨細胞形成の関連性を明らかにする。まずはWildタイプマウスの頭蓋骨に破骨細胞を誘導するLPSとGPR120のアゴニストであるDHAを注射し破骨細胞数に変化が現れるか実験を行った。5日間毎日LPS100μg単体及びLPS100μgとDHA100μgを混ぜたものをマウス頭蓋骨皮下に注射して6日目に屠殺し頭蓋骨を採取した。また同時に血清及びmRNAの採取を行った。頭蓋骨はホルマリン固定後、EDTAで脱灰し頭蓋骨を前方部、中央部、後方部の3に分けの組織切片を作成した。破骨細胞の染色ができるTRAP染色を行いLPS単体の注射群とLPSとDHAを同時投与した群の頭蓋骨の前方部、中央部、後方部の縫合部にできる破骨細胞をカウントし3箇所の平均で比較検討を行った。現在N数を増やして実験を行なっている。今後、切片を作成し解析を進める予定である。血清中の骨吸収マーカーやmRNAの発現確認は切片の破骨細胞数に有意差が出てから確認する予定である。
3: やや遅れている
国内業者からGPR120KOマウスを購入しようとしたところ国内にTAKONIC社のGPR120マウス購入ライセンスを持っている業者がなく、京都大学大学院薬学研究科 生体分子認識学分野にGPR120マウスの譲渡をお願いした。委託業社にマウスの作成を依頼し3月に納品となった。これから順次研究を進めていく。
譲渡されたマウスはヘテロタイプのためホモタイプを作成し試薬などは購入して準備してあるので早急に研究を進める。
GPR120koマウス購入の際に作成費の他に福岡からの輸送費がかかることになっていた。おおよその輸送費は聞いていたが、業者から正確な見積もりがで出るのが年度末近くということで余裕持って予算を残しておく必要があった。そのために残余金が出た。
残した費用は試薬購入に充てる予定である。
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Immunology Letters.
巻: 175 ページ: 8-15
10.1016/j.imlet.2016.04.004