研究課題/領域番号 |
16K20641
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
川崎 勝盛 新潟大学, 医歯学系, 助教 (40529640)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 一次繊毛 |
研究実績の概要 |
複雑なエナメル形成を培養細胞で再現することは不可能であり、In vivoによる解析がエナメル形成のメカニズム解明には不可欠であった。これまで、エナメル質関連タンパク欠損マウスによる解析は多数行われているものの、エナメル形成メカニズムには未解明な点が多く残されており、従来の単一分子レベルでの解析には限界があると考えられる。一次繊毛 primary cilliaは脊椎動物のほぼ全ての細胞に認められるものの、長い間、存在意義の不明な細胞小器官であった。しかし、近年の分子生物学の急速な発展により、一次繊毛が細胞運動、外液移動、化学受容、光受容、機械受容、シグナル伝達等の多機能を有することが明らかにされている。様々な機能を有することが明らかとなってきた一次繊毛のエナメルにおける機能の解明を目的とする。一次繊毛に存在するOfd1とIft88に着目し、その遺伝子改変マウスによる解析で、一次繊毛とエナメル形成の関係を解明する。予備実験で認められたエナメル形成不全が、全てのOfd1上皮特異的欠損マウスとIft88上皮特異的欠損で引き起こることが確認できた。しかし、その欠損のレベルには個体間が存在することが明らかとなった。さらに、同一のマウスでも、上顎臼歯と下顎臼歯間で、エナメル形成不全の程度に差が存在する事が確認できた。また、SEMによる検索の結果、エナメル形成異常が、エナメル形成の分泌期の異常によるものである事が判定された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子改変マウスで認められるエナメル異常の発現頻度は、実験デザインに大きく影響する。全てのOf1上皮特異的マウスとIft88上皮特異的欠損マウスでエナメル形成不全が認められたことは、全てのマウスが検索可能であることを意味し、今後の実験で非常に有利となる。また、異常を引き起こすステージの同定は、研究の標的ステージを意味する極めて重要な情報であり、その確定は今後の研究遂行に大きな意味を持つ。
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今後の研究の推進方策 |
acetylated-a-tubulinの免疫染色により、一次繊毛のエナメル発生期間中の局在部位を特定する。本年度に継続して、Ift88およびOfd1欠損マウスのエナメルにおける分子レベルでの検索を行う。またダブルノックアウトを作成し、エナメルの表現形の変化を確認し、Ift88とOfd1の相互関係も検索する。organ culture法やrecombination法などによるin vitro、妊娠母親マウスを用いたin vivo実験に、SiRNA、antagonist、agonis、などを駆使することにより、一次繊毛のエナメルの発生における機能解明を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
機器の修理等の関係で、使用できなかった旅費、消耗品が若干生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、前述した推進方策にしたがい、必要な実験動物、試薬等の消耗品類を購入する。また、国内外の学会における成果発表の旅費に充てる。
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