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一次繊毛は胎生初期には左右軸の決定に関わり、その後の様々な場面でも細胞極性の制御に関わると考えられている。本研究の対象であるエナメル芽細胞は時期に応じて核が一端に局在するという非常に極性をもつ細胞である。極性をもつ分泌期のマウス歯胚での一次繊毛の局在を、acetylatedα-tubilinの免疫染色にて確認したところ、WTにて規則性のある配列を認めた。Ofd1上皮組織特異的欠損マウスのエナメル芽細胞におけるacetylatedα-tubilinの発現部位に大きな変化は認められなかった。一方、WTでは線状に認められるacetylatedα-tubilinの発現が、Ofd1上皮組織特異的欠損マウスでは点状に観察された。
Ofd1上皮特異的欠損マウスのエナメルの摩耗度を検索するために、wild-typeマウス、Ofd1上皮組織特異的欠損マウス双方の臼歯歯冠の走査型電子顕微鏡（SEM）による観察を行なった結果、Ofd1上皮組織特異的欠損マウスの臼歯には、著しい摩耗が観察された。
エナメル形成には、Shhシグナル、Fgfシグナル、Wntシグナルなど様々なパスウェイが関与することが知られている。WTマウスとOfd1上皮組織特異的欠損マウスの分泌期のエナメル芽細胞から抽出したRNAを用いて、qPCR解析を行ったところ、Ofd1上皮組織特異的欠損マウスのエナメル芽細胞におけるGli1（Shhシグナルのマーカー）が優位に減少していることが明らかになった。
以上のことより、Ofd1はマウスのエナメル形成においても、重要な機能を有していることが明らかとなった。Ofd1上皮組織特異的欠損マウス形成不全は、分泌期のShhシグナルの低下による可能性の高いことが示唆された。
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