研究実績の概要 |
今回の実験の結果、マウスの頭蓋骨骨芽細胞(MC3T3-E1)に2.85J / cm 2の線量でのスーパーパルスレーザー照射は、細胞遊走能が亢進し、MAPK / ERK1 / 2のリン酸化が誘導され、15分後に30分後にMAPK / ERK1 / 2のリン酸化が誘導されたことを確認した。つまりMAPK / ERKシグナル伝達を介してMT3T3-E1細胞の細胞分裂および移動を増加させたことがわかった。これは2017年にLasers Med Sci(Kunimatsu R, Gunji H, Tsuka Y, et.al)に受理された。また、ラットの人為的歯の移動に、スーパーパルスレーザー(半導体)照射を行い検討したところ、歯の移動が促進され、組織学的にも圧迫側でTRAP陽性細胞が増加し、牽引側でもALPおよびPCNAの増加が確認さた。このことは歯の移動時に半導体レーザー照射が影響し、骨代謝を促進している可能性が示唆された。この内容は2018年にLaser Sur Med(Gunji H, Kunimatsu R, Tsuka Y, et.al)に受理された。また、歯槽骨レベル低下モデルについては、簡易作成が困難であったため、半導体レーザーではなく、組織表面吸収型レーザーであるEr:YAGレーザーを使用し、切開とレーザー照射を兼ねて歯の移動に対する検討を行った。その結果、歯の移動は亢進され、組織学的にも圧迫側でTRAP陽性が増加し、牽引側でALPの増加が認められ、骨代謝が亢進されたことが確認された。この内容は2018年にJ Oral Sci(Tsuka Y, Kunimatsu R, Gunji H)に受理された。これらの結果はレーザー治療の矯正歯科臨床応用に非常に役立つと考える。また、さらなる実験が必要であると考える。
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