平成29年度は、前年度に引き続き、骨格筋萎縮性疾患の治療効果としてのmyostatin siRNA(Mstn-siRNA)あるいはmyostatinの受容体であるアクチビンタイプⅡB受容体の細胞外領域FC融合タンパク (ActRⅡB-FC)の単独投与、ならびに両剤の共投与の有効性について検討を行った。実験には11週齢のC57BL/6マウスを使用した。マウス咬筋に筋肉内投与によりMstn-siRNA、 ActRⅡB-FCもしくは共投与を週2回行い、初回投与から1週間後に筋を摘出し解析を行った。共投与を行ったマウスは、それぞれの単独投与と比較して有意な骨格筋湿重量と筋線維断面積の増加を認めた。また、共投与を行ったマウスにおいて、有意なmyogeninの遺伝子発現の亢進と、筋萎縮関連遺伝子であるMuRF-1 およびAtrogin-1 の発現低下を認めた。 以上の結果よりMstn-siRNAと ActRⅡB-FCの共投与は、筋ジストロフィーなどの骨格筋萎縮疾患の有効な治療法となり得ることが示唆された。 本研究成果は学術雑誌にて発表した(Journal of Oral Health and Biosciences 30(1)1-7 2017、Journal of Nutritional Science and Vitaminology 63(4) 2017)。 以上より、平成29年度に予定した研究計画はほぼ実施できている。
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