まずマウスの歯根より採取した歯根膜細胞にADAMTSL6βを作用させフィブリリン-1 の発現を促した。ADAMTSL6βによるフィブリリン-1 の誘導は以下の2通りの方法で行なった。一方は発現ベクターにより ADAMTSL6β を 過 剰 発 現させることによりフィブリリン-1 再生 を促す方法で行い、もう一方は組み換えタンパク ADAMTSL6βを細胞培養培地に加える方法 で行なった。フィブリリン-1の形成は RT-PCR、HE 染色、免疫染色で確認を行なったところ、フィブリリン-1の形成が確認された。これら2つの方法でフ ィブリリン-1 を再生させることにより、 口腔内で歯の弾性機能を担う歯根膜の微細線維で、その主成分で あるオキシタラン線維を有する細胞株を目指した。オキシタラン線維の形成は RT-PCR、HE 染色、免疫染色で確認を行いその発現が確認された。 これらの細胞にファイブロネクチンやゼラチン、インテグリンなど細胞表面に存在し、細胞同士の接着に関与する分子を利用することで細胞を三次元的に積み重ねる「細胞積層法」を応用する「Layer by Layer technique」を用いることにより、ADAMTSL6βによりフィブリリン-1 を形成した細胞を層状に積み重ね in vitro で三次元的にオキシタラ ン線維を有する人工歯根膜を作製することを試みた。 上記の方法で作製した 三次元立体構造を持つ細胞塊がADAMTSL6βによりフィブリリン-1 を再生しこれによりオキシタラン線維を形成し人工的に歯根膜が形成されているかの機能 評価を行うため、Periomedatabase に登録されている歯根膜特異的に発現する遺伝子群の発現を realtime PCR 法 で解析を行った。現在そのデータを解析中である。
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