研究課題
糖尿病や肥満が、歯周病の悪化に影響を及ぼし得ることは、多くの疫学的調査ならびに動物実験によって示されているが、その詳細なメカニズムは未だ明らかにはされていない。歯周組織も、糖尿合併症として血管障害がみられる臓器(網膜、腎臓)などと同様に、糖尿病や肥満によるインスリン抵抗性の発現と、それに伴う血管内皮機能不全が起きていると考えられる。本研究では、歯周組織におけるインスリン抵抗性が歯周組織の治癒および再生療法に及ぼす影響について糖尿病モデル動物と臨床サンプルを用いて検討する。まず、歯周組織再生療法への影響をin vivoで評価するために、ストレプトゾトシン(STZ)の腹腔内注射で作製した糖尿病モデルラットの左右の上顎に外科的に作製した骨欠損モデルにエムドゲインを用い、歯周組織再生療法の効果を解析した。・外科的歯周炎モデル:全身麻酔下で両側上顎第一臼歯近心に骨欠損(2×2×1mm)を作製し、露出根面のセメント質も除去。片側にはエナメルマトリックスデリバティブ(エムドゲイン®ゲル)を塗布、片側は何も入れずに縫合閉鎖。・歯周組織再生の観察と血管新生・骨代謝マーカーの定量:4週間の観察期間中、マイクロCTにより欠損部の治癒状態を3次元画像にて観察する。また、1、2週目に治癒過程にある欠損部組織でのeNOS,血管内皮成長因子(VEGF)などの血管新生関連マーカー、その他の成長因子や、Ⅰ型コラーゲン,Runx2,OCN,Osxなどの骨代謝マーカーのmRNA発現レベルをリアルタイムPCRにて計測する。4週目に安楽死を行った個体では、連続組織切片によるセメント質の再生量の計測を行った。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
PLOS ONE
巻: 14 ページ: e0218798
10.1371/journal.pone.0218798