研究課題
申請者らは,歯周炎によって歯肉上皮細胞,マクロファージからHMGB1が分泌され,分泌されたHMGB1が他の炎症性サイトカインの産生を促すことで炎症が遷延化するのではと仮説を立てた。そこで本研究では1)培養歯肉上皮細胞,培養マクロファージ様細胞に炎症刺激を加えることでHMGB1が分泌され,他の炎症性サイトカインの産生を促すのか,2)歯周炎モデルマウスに抗HMGB1抗体を投与することにより,歯周炎が抑制され骨吸収量が低下するのかを,それぞれELISA法と組織学的手法を用いて解析した。その結果,炎症刺激により歯肉上皮細胞,マクロファージ様細胞からHMGB1が分泌され,その後他の炎症性サイトカインが産生されることが明らかとなった。この炎症性サイトカインの産生はHMGB1の働きを阻害する抗HMGB1抗体の投与によって抑制された。次に抗HMGB1抗体を歯周炎モデルマウスに投与して,歯周炎による骨吸収の影響を確認した実験において,抗体を投与すると,歯肉上皮細胞ではHMGB1の核外への移行が阻害され,歯周炎による炎症が抑制された。また好中球の遊走,炎症性サイトカインの産生量も減少し,その結果歯周炎による骨吸収量が減少した。以上のことから,歯周炎の進行にHMGB1が関与していることが明らかとなった。本研究成果は2018年3月12日,米国の科学雑誌「Infection and Immunity」に掲載された。
岡山大学にて研究内容についてプレスリリースを行った。
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Infection and Immunity
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10.1128/IAI.00111-18
Journal of Cellular Biochemistry
10.1002/jcb.26710.
http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id529.html
http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id530.html