歯周炎関連遺伝子を同定するためのゲノムワイド関連解析(GWAS)をアジアで初めて行い、関連の示唆される遺伝子GPR141(Gタンパク結合受容体141)を報告した。GPR141の遺伝的多型は歯周炎の感受性に関連するだけでなく、喫煙と遺伝子環境相互作用(G-E interaction)を有していた。本研究でGPR141の発現と機能、歯周炎との関連及び喫煙とのG-E interactionを研究する。 歯周炎患者と、健常者の検体を収集しGPR141上のSNP(rs2392510)の遺伝子型を同定、血清コチニン濃度を測定し、歯周炎への遺伝的リスクと喫煙との関連を検討する。H27年時点で歯周炎患者114人を収集済みで、内113人はrs2392510遺伝子型同定済みであり、歯周炎患者130人、健常者46人を目標とする。血清中コチニン定量はELISAにて行う。血液からのDNAの抽出は外部機関であるビー・エム・エル(株)に依頼する。SNPの遺伝子型の同定はApplied Biosystems 7500HT Fast Real-Time PCR Systemを使用する。血中コチニン濃度とGPR141の関連より、喫煙を介した歯周炎へのリスクとなる遺伝子型を同定する。THP-1を培養し、LPS刺激時及び無刺激のTHP-1からmRNAを抽出し、RT-PCR SystemにてGPR141の発現を定量的に測定する。ルシフェラーゼアッセイによりGPR141の転写調節因子の影響を測定する。GPR141をノックダウンした、THP-1のサイトカインの定量をRT-PCRにて行う。以上からGPR141の炎症下での遺伝子発現の変化、炎症性サイトカインへの影響を測定し、歯周炎発症への経路を考察することで、歯周炎の新たなメカニズムの一端を明らかにする可能性が期待される。
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