研究課題/領域番号 |
16K20678
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
備前島 崇浩 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (40755021)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 歯周組織再生療法 / 糖尿病 / 成長因子 / FGF-2 / 自己組織化ペプチド |
研究実績の概要 |
糖尿病は歯周病の重要なリスクファクターであり,1型と2型糖尿病患者は健常者に比べて,より高い歯周炎の発症率と重症度を起こすことが知られている。コントロール不良な糖尿病患者では,感染防御機構の低下や創傷治癒不全を起こしやすく,歯周組織の治癒にも問題があることが指摘されている。申請者はこれまで,1型糖尿病ラットの歯周組織欠損部にFGF-2を応用することで,歯周組織再生を促進することを報告してきた。しかし再生は限定的であり,健常群と比較すると新生骨形成量は減少し,セメント質の再生も限局的であった。そこで本研究では,糖尿病状態の歯周組織欠損部に,薬剤の徐放効果を有し,組織再生能に優れた自己組織化ペプチドを基材として用い,また増殖因子を複数応用したカクテル療法による歯周組織再生療法を行なった場合の治癒動態について明らかにすることを目的とする。今までは1型の糖尿病モデルラットを用いていたが,今年度は2型の糖尿病モデルラット(GKラット)の上顎両側第一臼歯近心に外科的に歯周組織欠損を作成し,実験側に2.5%PuraMatrix+FGF-2, 対照側には2.5%PuraMatrix単独を応用した。歯肉弁を復位し,吸収性糸を1糸縫合した。2週・4週の治癒期間の後にμCTを用いて歯槽骨再生について検証した。2型糖尿病ラットにおいても重篤な感染症等は認められず,2.5%PuraMatrix単独応用と比較して,FGF-2を併用することで欠損部の骨再生を促進させることが示唆された。1型糖尿病ラットと比較した際に,歯周組織再生に顕著な差は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では,FGF-2とBMP-2を用いた成長因子のカクテル療法による,歯周組織再生療法を行う予定であったが,1型と2型糖尿病ラットにおける自己組織化ペプチドとFGF-2併用による再生療法の効果の比較検討に時間を要しているため。
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今後の研究の推進方策 |
実験デザインや糖尿病モデルは確立しているため,引き続き1型・2型糖尿病での再生能力の比較と検討,FGF-2とBMP-2を併用した再生療法の実験を予定している。また細胞増殖能や骨再生,血管新生関連マーカーの抗体を用いた,免疫組織化学染色を行なっていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 物品費として計上していた消耗品が当初の実験計画より縮小したため,少額残存した。 (使用計画) 次年度に物品費として補填使用する。
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