研究課題
口腔領域の骨欠損部の再建は歯の保存や機能回復において重要である。それ故に様々な細胞を用いた骨再生治療が開発されている。申請者は増殖能力が高く骨形成能力を有する未熟な骨芽細胞に着目し解析した。その結果、再生治療を必要とする中高年齢層から採取が可能な技術を確立した。近年、細胞外の環境として固さに注目した培養環境が細胞の分化に影響を与えていることが報告されている。しかしながら再生療法に適した骨芽細胞の増殖、分化に最適な細胞環境の報告は未だない。そこで細胞移植治療に用いる骨芽細胞に最適化した細胞培養環境をゲルを用いた細胞外の固さの再現を行いその上で培養し細胞の分化、増殖速度の調整をおこなった。この培養方法を用いた骨芽細胞培養の報告は未だないため、歯槽骨骨芽細胞は皮質骨の骨表面に細胞が存在することから、申請者は骨膜の固さに調整したアクリルアミドゲルとその表面を細胞外マトリックスによるコーティングを施すことにより骨芽細胞に最適と思われる細胞外の環境の再現を試みた。ゲル上のでの細胞は形態を変化させた。申請者は骨形成能力を有する細胞の評価の指標となる分子候補としてNEBLを特定することを見いだしている。NEBLは細胞骨格の重要な因子であるActinと結合する分子として報告されており、これらの結果から通常の培養皿と固さの異なるアクリルアミドゲルの上での培養により細胞骨格に何らかの影響が出ていることが予想される。今後は骨関連遺伝子、未分化細胞のマーカー遺伝子の解析を進める予定である。
3: やや遅れている
ゲル上での細胞培養は可能で在るが、一度に培養できる細胞数が少ない事、また長期培養を行うと細胞がゲルから剥離するため解析に遅れが出ている。
ゲルの上での培養には限界があるため、ゲルの種類を変更し、ゲル内での3次元培養に変更する。ゲルの中でもGelatin methacryloyl (GelMA)は作製が容易で生体安全性が高く、広く研究が行われている(Paul A et al.J Mater Chem B Mater Bio Med 2016;28:3544-3554)。ゲルの固さの調整もかのうであることからこのGelmaをもちいて引き続き研究を継続する。
研究計画上で一部(実験材料の種類を変更したため)に遅延が出ているため使用していない研究費が発生した。
本年度使用していない分変更した材料を物品費として使用する。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
Archives of Oral Biology
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1016/j.archoralbio.2017.02.019
PeerJ
巻: - ページ: -
10.7717/peerj.2999
Mediators of Inflammation
10.1155/2016/7150509