研究課題/領域番号 |
16K20684
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
相野 誠 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (20572811)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 歯周病 / 骨芽細胞 |
研究実績の概要 |
口腔領域の骨欠損部の再建は歯の保存や機能回復において重要である。それ故に様々な細胞を用いた骨再生治療が開発されている。申請者は増殖能力が高く骨形成能力を有する未熟な骨芽細胞に着目し解析した。 近年細胞外の環境として固さに注目した培養環境が細胞の分化に影響を与えていることが報告されている。しかしながら再生療法に適した骨芽細胞の増殖、分化に最適な細胞環境の報告は未だない。そこで細胞治療に適した骨芽細胞を培養に最適化した細胞培養環境を探索し、より細胞移植治療に有用な細胞移植治療を現実的にすることを目的とし研究を進めている。そのため骨膜の固さに調整したアクリルアミドゲルと細胞外マトリックスの組み合わせを用いて骨芽細胞に最適と思われる細胞外の環境の再現を試みた。その結果予想と反しゲル上で培養した骨芽細胞では通常の培養皿で培養したと比較し、骨芽細胞分化マーカー遺伝子のの明らかな上昇は見られなかった。そこで紫外線や特定の波長の光線に反応する光感受性物質をゲルの硬化の起点に用いることができるGelmaと呼ばれるコラーゲンゲルを用いた3次元培養を行った。その結果、骨芽細胞分化マーカー遺伝子である、オステオカルシンや、ボーンシアロプロテイン遺伝子の発現の上昇がみられた。これらの結果から骨芽細胞に最適な培養条件として、3次元での培養が適しており、その際のゲルの硬さや細胞の密度などさらに条件を変更し、細胞移植治療に最適化された骨芽細胞の培養環境が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、細胞治療に適した骨芽細胞を培養に最適化した細胞培養環境を探索し、より細胞移植治療に有用な細胞移植治療を現実的にすることを目的とし研究を進め、骨膜の固さに調整したアクリルアミドゲルと細胞外マトリックスの組み合わせを用いて骨芽細胞に最適と思われる細胞外の環境の再現を試みたが、ゲルの表面にコーティングした細胞外マトリックスタンパクが細胞からRNAを抽出するのを阻害し、解析が遅延した。またその後問題を解決し、RNAを解析したところ予想と反しゲル上で培養した骨芽細胞では通常の培養皿で培養したと比較し、骨芽細胞分化マーカー遺伝子の発言は低かった。そこでGelmaと呼ばれるコラーゲンゲルを用いた3次元培養に変更し研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究方法であったアクリルアミドゲルと細胞外マトリックスの組み合わせから紫外線や特定の波長の光線に反応する光感受性物質をゲルの硬化の起点に用いることができるGelmaと呼ばれるコラーゲンゲルを用いた3次元培養を行った結果、骨芽細胞分化マーカー遺伝子の発現の上昇がみられた。これらの結果から骨芽細胞に最適な培養条件として、3次元での培養が適していることが判明した。そのためゲルの硬さの調整や培養時の細胞の密度などさらに条件を変更し、細胞移植治療に最適化された骨芽細胞の培養環境をすすめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、細胞治療に適した骨芽細胞を培養に最適化した細胞培養環境を探索し、より細胞移植治療に有用な細胞移植治療を現実的にすることを目的とし研究を進め、骨膜の固さに調整したアクリルアミドゲルと細胞外マトリックスの組み合わせを用いて骨芽細胞に最適と思われる細胞外の環境の再現を試みたが、ゲルの表面にコーティングした細胞外マトリックスタンパクが細胞からRNAを抽出するのを阻害し、解析が遅延した。そのため問題を解決するまで次の実験を中止し、問題解決に取り組んだため、計画よりも出費が減ったことにより次年度使用額が生じた。次年度はGelmaと呼ばれるコラーゲンゲルを用いた3次元培養に変更し研究を進めていく。
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