研究課題
常在菌は免疫応答に重要な役割を果たす。しかし、歯周組織において歯周病原菌由来物質；リポポリサッカライド (LPS) に対する免疫応答が、常在菌の有無によりどのように異なるのかは不明である。本研究では、無菌であるgerm-free (GF) マウスと常在菌を保有するspecific-pathogen-free (SPF) マウスを用いて、LPS塗布に対する歯周組織の免疫応答を検討することとした。8週齢のGF/SPFマウスを用いて、LPS塗布前 (ベースライン時) (n=4)、口蓋側臼歯部にLPS (10mg/ml) を塗布してから3時間後 (n=6)、24時間後 (n=6)、および72時間後 (n=6) に、歯周組織を採取した。末梢血中のCD4陽性T細胞とCD8陽性T細胞をフローサイトメトリーにて評価した。免疫蛍光染色を用いて、歯周組織におけるCD4陽性T細胞とCD8陽性T細胞の発現、またリアルタイムPCR法を用いて、サイトカインとケモカインのmRNA発現を分析した。末梢血中において、SPFマウスのCD4陽性T細胞はベースラインと比較してLPS塗布3時間後で有意に減少した。歯周組織においては、LPS塗布3時間後にCD4陽性T細胞数が有意に増加した。また、tumor necrosis factor-α、interleukin (IL) -17A、IL-10、forkhead box P3およびchemokine (C-X-C motif) ligand 1 (CXCL1)のmRNAは、LPS塗布3時間後に発現のピークを迎えた。一方、GFマウスでは、末梢血中および歯周組織上ともにCD4陽性T細胞数に大きな変化はなかった。SPFマウスは、LPS塗布3時間後にCD4陽性T細胞数が多くなり、炎症関連因子の発現も上昇した。一方、GFマウスではこれらの変化が認められなかった。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
Archives of Oral Biology
巻: 87 ページ: 72-78
10.1016/j.archoralbio.2017.12.007
Journal of Periodontology
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
