平成29年度は、P. acidifaciensのバイオフィルム形成能に関して、酸濃度及びS. mutans産生物の影響を調べることを、P.acidifaciensの心脈管系疾患との関連を解明するため、P. acidifaciensの心内膜組織への結合能、血管内皮細胞への侵入能と炎症性因子の誘導能について検討を行うことを予定していた。 1. P. acidifaciensのバイオフィルム形成能の検討: 1) P. acidifaciensが産生するプロピオン酸と酪酸の濃度により、バイオフィ ルム形成能が変化するかを調べた。2) P. acidifaciens がバイオフィルムを形成する際に、S. mutans産生するギ酸と酢酸の有無がその形成能に影響を与えるかを調べた。その結果、いずれの酸の環境下においても、ある濃度以上ではその育成が妨げられた。2. P. acidifaciensの心内膜組織への結合能の検討 (ELISA法): 1) 心内膜を構成する成分 (ラミニン、コラ ーゲン、フィブロネクチン) で96ウェルマイクロプレートを被覆する。2)ビオチンで標識したP. acidifaciensを用いて、各成分への結合を調べたが、今なお検討中である。3. P. acidifaciensの血管内皮細胞への侵入能の検討、4. P. acidifaciensの血管内皮細胞における炎症性因子誘導能の検討は、今年度に実施することができなかった。今後の課題とする。 以上のデータを総括し、論文作成、投稿を行う準備をしているところである。
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