研究課題/領域番号 |
16K20697
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
渡邉 功 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10636525)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ピロリ感染 / 歯髄 / 唾液 / 口腔 |
研究実績の概要 |
Helicobacter pylori(以下H. pylori)菌は、胃疾患の原因となり、感染経路の1つに口腔感染が想定されているが、調査方法に信頼性が乏しく、未だ口腔内の定着部位は明確でない。そこで、同一被験者で口腔内の複数の検体によるH. pylori遺伝子を検証、口腔内感染巣を検討することとした。 2016年1~9月に本学附属病院歯科外来にて、歯髄処置及び抜歯処置施行患者102名に対して、研究参加への同意後に歯髄、歯垢(前及び臼歯部)、唾液を採取した。そして、被験者毎に4検体採取、PCR法によるH. pylori遺伝子の有無について同定した。なお、H. pylori菌感染の有無は、尿中抗H. pylori抗体検査を用いた。 102名中11名の歯髄よりH. pylori遺伝子が検出された(検出率:11%)。そのうち、1名の歯垢(臼歯部)よりH. pylori遺伝子が検出、10名より尿中抗H. pylori抗体が認められた(検出率:10%)。しかし、唾液からH. pylori遺伝子は検出されなかった。 尿中抗H. pylori抗体陽性者と歯垢中H. pylori遺伝子陽性者は、全て歯髄内H. pylori遺伝子陽性者であることから、歯髄組織はH. pylori菌の感染巣となりうる可能性が示唆された。また、歯髄内H. pylori遺伝子陽性者は、重度歯周病であるが歯垢中H. pylori遺伝子検出率は低く、関連は不明である。今後、検体数を増やして検討を加えたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標の症例数にはまだ及ばないものの、約1/2を収集している。検体の収集とともに、PCRでのピロリ菌の解析も並行して行っているが、目標症例数の1/3以上は既に終わっている。残りの症例数の確保と解析を進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
症例は共同研究期間からの協力もあり、順調に増加しており、目標まで見込まれている。症例の確保と並行して、PCR解析やデータ入力・解析を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に集めた症例数は概ね収集できたが、得られた試料のPCR解析及びデータ解析はまだ2/3となっており、残りの解析を次年度に繰り越したため。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度に未解析に終わった試料のPCR解析・データ解析に加えて、当初より予定していた症例数を目標として、症例数の確保とそれに伴うPCR解析やデータ解析を進めていきたい。
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