本研究は、55歳以上の高齢就労者における職業性ストレスと口腔内機能、全身機能等の経年的な変化を把握することで職業性ストレスが口腔内機能等に及ぼす影響をコホート研究で明らかにすることを目的とした。 調査項目は質問紙調査(職業性ストレス簡易調査票、対象者属性、健康関連QOL、医療受療状況、生活習慣に関するアンケート)、口腔内指標(う蝕経験、歯周病検査、唾液検査、嚥下機能検査)、全身所見(全身疾患の有無、血圧、握力等)である。 最終年度である平成30年度は、下記の4点を実施した。 1.前年度調査対象として追加した企業における一年経過後のデータ調査、2.ベースライン時のデータをもとに作成した論文のジャーナルへの提出、3.一年経過後のデータ解析、4.国際歯科学会(IADR)やSt.George’s University Hospital(ロンドン)でのシンポジウムにて研究成果の発表である。 1に関しては56名の一年経過後のデータを採取した。2に関しては前年度追加で採取したデータを加えて解析したベースライン調査結果を英語論文化して現在オープンアクセスのジャーナルに投稿中である。また中高年労働者において職業性ストレス高負荷となった対象者において職業性ストレス中・低負荷に比べて現在歯数が少ない傾向にあることを明らかにした。この結果は、日本歯科医療管理学会雑誌に論文投稿し、54巻第1号(2019年7月号)に掲載予定となった。3に関しては、追加調査データのデータセットの作成ならびに解析を進めている。4に関しては追加分を加えたベースライン時の結果を取りまとめ、研究結果を発表した。また本結果は、北海道公衆衛生学会で発表している。
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