サルコペニアは加齢に伴う筋肉量の減少から、筋力や運動機能の低下、低栄養状態を誘導する病態であり、全身疾患、口腔機能、栄養状態との関連が明らかにされつつある。本研究ではアルツハイマー型認知症高齢者の嚥下機能低下に関する予知因子を明らかにする事を目的とし、ベースライン時のADLや認知機能、他の口腔機能評価を検討した。結果1年後に嚥下機能が低下する予知因子として、舌苔の付着、挺舌および口唇閉鎖の可否、タ・カ音の不明瞭が挙げられた。これらの因子は、舌の運動機能、口唇閉鎖や舌の巧緻性といった、従来要介護高齢者の嚥下機能低下に関する因子として既知のものであり、本調査結果の妥当性を示すものと考える。
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