研究課題/領域番号 |
16K20700
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
齋藤 真規 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (30434096)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | オゾンナノバブル水 / マウスガード / 齲蝕予防 / 歯周病予防 |
研究実績の概要 |
オゾンナノバブル水の各種口腔微生物に対する培養法を用いた殺菌効果の検討及びオゾンナノバブル水潅流マウスガードの試作品の作成を行った。 オゾンナノバブル水の齲蝕原性細菌と歯周病原細菌に対する殺菌効果の検討にStreptococcus mutans,S. sobrinus(齲蝕原性細菌),Porphyromonas gingivalis,Prevotella intermedia,Aggregatibacter actinomycetemcomitans,Tannerella forsythia,Fusobacterium nucleatumおよびTreponema denticola(歯周病原細菌)を供した。オゾンナノバブル水は供された全ての被験菌(1億Colony Forming Units)に対して即時に殺菌し,生菌は確認されなかった。 オゾンナノバブル水潅流マウスガードの試作品を作成し,墨汁を用いて灌流の様子を確認した。エポキシ樹脂製顎模型(下顎)の全ての歯と歯肉溝を覆うように熱可塑性素材であるソフトタイプのEVA(エチレン-酢酸ビニル共重合体)を加熱吸引後,成形し,さらにその上からEVAを用いて通法に則りマウスガードを作成した。歯と歯肉溝を覆ったEVAを除去することでオゾンナノバブル水が灌流できるマウスガードとした。マウスガードには液体が通る穴を二か所(第二大臼歯部頬側)開け,右側を流入口,左側を流出口とした。流入・流出口に加熱したEVAを用いてシリコンチューブを接着した。流入用チューブには墨汁タンクを接続し,流出用チューブには歯科用バキュームと装着した。バキュームのスイッチを入れ,1分間墨汁を灌流させた。灌流後,マウスガードを外すと流出後部の第二大臼歯部遠心の歯面に墨汁による染色が認められなかったため,流入口と流出口を変えて灌流させると全面が染色された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在,種々の口腔疾患起因菌に対するオゾンナノバブル水の抗菌効果について短時間で強い殺菌効果を認めており,良好な結果が得られており,順調に進んでいるといえる。 一方,オゾンナノバブル水の灌流マウスガードの試作品については様々な素材を使用してもっと多く作成する必要性がある。研究協力者が教育・診療等で多忙であるため,マウスガードの性能の向上に対するディスカッションができていない。マウスガードの試作品を模型に装着して墨汁を流入させた際,マウスガードと模型の間隙やマウスガードの流出・流入口とシリコンチューブの接合部から墨汁の漏洩を認めることがあり,マウスガードの素材やマウスガードとシリコンチューブとの接合部の接着方法などの改善が必要であると考えられる。また,マウスガードには液体が通る穴を二か所(第二大臼歯部)開けているが第二大臼歯遠心歯面に墨汁が付着しなかったことから,流出口の位置を見直す必要性がある。これらの結果から試作品はさらなる改良が必要であると考えられる。また,マウスガード作成用の吸引成形器の不具合を修理するなどのトラブルもあったため,進捗状況としてやや遅れてると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
研究協力者とのディスカッションはすでに始まっており,マウスガードの素材の見直しやマウスガードとシリコンチューブの接着など液体の漏洩の防止策を検討している。 マウスガードの素材は現在まで熱可塑性樹脂でソフトタイプのEVAを使用していた。ソフトタイプであるため,バキュームによる強い吸引力でマウスガードが変形してしまい墨汁が漏洩したと考えられる。そのため,今後は素材をハードタイプのEVAを使用することを検討している。また,バキュームの吸引力が強すぎることが考えられるので歯科用診療代(ユニット)に通常付属している排唾管(吸引力がバキュームより弱い)を使用することも考えている。マウスガードとシリコンチューブの接着は,マウスガードの穴にシリコンチューブを付着させ,その周囲に加熱軟化したソフトタイプEVAを流していたが,接着が思うようにできていない。そこで,加熱軟化したEVAシートをマウスガードの穴と同サイズの直径になるような筒状に成形し,マウスガードの穴と筒状のEVAを加熱して結合させる。同一素材であるため強固に結合できると考える。マウスガードに結合した筒状EVAに差し込むようにシリコンチューブを結合すれば液体の漏洩は防止できると考えられる。マウスガードの流入・流出口の設定に関しては現在と同様の設定部位(第二大臼歯頬側)に設定し,一定時間流入後,流入・流出口を左右逆転させるものについて検討するとともに第二大臼歯遠心に設定して左右の入れ替えのないタイプのものについて検討を加える。 マウスガード完成後には倫理委員会の承認が得られたのちにボランティアに対して効果を検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初,マウスガード作成用の吸引成形器を購入しようと考えていたが本学附属病院のものを使用してもよいということになったため,吸引成形器の購入はしなかった。しかしながらマウスガードの吸引成形器の不具合により修理に多少の時間を要したこともあり次年度使用額が生じた。また,マウスガード試作品が完成した際には,学会発表しようと考えていたが完成までは至らなかったため旅費に関しても次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
オゾンナノバブル水灌流マウスガードを完成させ,次年度に学会発表を行うものとし,未使用額を経費に充てる。
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