高齢化社会が進む我が国において、口腔顎機能低下や歯牙喪失から国民を守り、健康寿命の延伸を図ることは喫緊の課題である。その中で、55-64歳における有病率が80%を超える歯周疾患、なかでも歯槽骨欠損からの回復が可能となれば、高齢者のQOL向上のみならず、国民医療の大幅な改善が見込める。研究では生理的分化誘導因子を添加することなく、すなわち介入無くヒト歯肉線維芽細胞からの石灰化に初めて成功した。これは難しい歯槽骨再生に道を拓く。本研究では、この石灰化現象を生じる歯肉線維芽細胞集団の機能を解明し、侵襲がほとんど無い歯槽骨再生法を開発し、高齢者の健康寿命の延伸を図ることに寄与するものと期待する。
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