研究課題/領域番号 |
16K20704
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
有吉 芽生 鶴見大学, 歯学部, 臨床助手 (20516299)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 口腔保健指導 / 血管内皮機能 / 血流依存性血管拡張反応 |
研究実績の概要 |
近年、口腔と全身の健康の相関性が数多く報告されているが、その一方で口腔の健康増進が全身の健康増進に寄与するという因果関係を示すエビデンスは限られている。その大きな理由は、歯科において全身の健康増進を評価するための確立された指標(評価項目)がないためであると考える。従って、上記の因果関係を示すエビデンス提示には、まず、口腔の健康増進により変化する全身の健康の指標(評価項目)の確立が必要である。 以上を背景に、本研究では、口腔の健康増進が全身の健康増進に貢献するという因果関係の解明を目指す介入研究を行う。ここでの口腔の健康増進とは、口腔疾患の臨床症状が無い健常被験者の歯面に潜む病原性バイオフィルムを除去し、口腔細菌叢の健全化を図ることである。Dental Drug Delivery System (3DS) は、オ-ダ-メ-ドトレ-内に洗口殺菌剤を適用し、歯面上の口腔細菌を一時的に無菌化する技術であり、本研究では介入項目として採用する。全身の健康増進については、評価項目として血圧に加えて血流依存性血管拡張反応(FMD)を採用し、各値が改善することを目指す。健康被験者を対象とし、3DSによる除菌を含む保健指導を行う群と3DSを含まない保健指導を行う群に無作為に割りつけ(封筒法を採用)、口腔の健康状態とFMD の因果関係を分析する。尚、本試験での3DSによる除菌は、オ-ダ-メ-ドトレ-内に洗口殺菌剤を適用し、歯面に3分間装着する(1日2回)。これを90日間行う。 今年度は、臨床試験開始までの準備に時間を充てた。具体的には、鶴見大学歯学部倫理審査委員会への承認を得た後、被験者を募集し選定を終えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
鶴見大学歯学部倫理審査委員会承認後の被験者募集、選定作業に時間が必要であったため、今年度は本試験にまで至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本試験を開始、実験計画に従い進めていく。無作為化には、封筒法を採用し、被験者を非3DS群および3DS群に割りつけ、それぞれの口腔診査(歯式、歯周組織検査)、血圧および血流依存性血管拡張反応測定を行い、各値の変化を検証する。尚3DSによる除菌ついては、オ-ダ-メ-ドトレ-内に洗口殺菌剤を適用し、歯面に3分間装着する(1日2回)。これを90日間行う。 また本研究は、介入を伴う臨床研究であるため「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理原則および「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(文部科学省・厚生労働省)」を遵守し研究を遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は介入を伴う臨床研究である。そのため鶴見大学歯学部倫理審査委員会承認後からの被験者募集および選定作業に時間が必要であり、本試験にまで至らなかったため、翌年度に使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
翌年度は本試験を4月より開始するため、介入項目である3DSに使用するオ-ダ-メ-ドトレ-作製、薬剤に加えて、評価項目である細菌検査などの消耗品や血管内皮機能に関わる解析委託費などに使用する予定である。
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