研究課題
本研究の基礎資料を得るため東京都健康長寿医療センター研究所が主催する健康調査事業に参加した65歳以上の高齢者を対象に実態調査が行われた。咀嚼機能評価として咀嚼力判定ガムを用いたところ、咀嚼良好群は466名、咀嚼不良群は318名であった。また咀嚼機能と低栄養についてロジスティック回帰分析を行った結果、有意な関わりを示した(栄養良好群: 0、低栄養群: 1、OR:0.770、95% CI:0.297-0.986)。この研究は2017年老年医学会にて発表を行った。また口腔機能の低下とサルコペニアの関連が注目されてきているなか、栄養摂取に関連する咀嚼筋の筋量を測定する意義は大きいと考え、千葉県柏市における地域在住高齢者53名を対象に追加の調査を行った。咬筋のMRI撮影およびノギスによる測定と超音波画像計測装置を用いて咬筋体積の計測をし、更に咬筋体積を簡易に推定する方法を開発しMRIによる咬筋体積と比較することで妥当性の検証を行った。また推定咬筋体積とサルコペニアの関連についても検討した。ノギスと超音波画像計測装置による推定咬筋体積は、MRIによる咬筋体積と有意な相関(r=0.903)を認め、簡易評価法として十分な結果が得られた。男性では非サルコペニアとプレサルコペニアに差はなかったが、サルコペニアでは有意に低かった。一方、女性ではプレサルコペニアの段階から有意に低く、サルコペニアでは更に低値を示した。以上よりサルコペニアが疑われる高齢者、特に女性においては咬筋量の減少も疑い簡易評価法を用いて評価する必要性が示唆された。この研究は2018年老年歯科医学会にて発表予定である。これらの調査・研究を元に、来年度、高齢者口腔機能低下モデルの作成を行う予定であったが、平成30年3月をもって現在の職を辞することとなったため研究中断の運びとなった。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件)
Geriatr Gerontol Int
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1111/ggi.13259
Gerodontology.
巻: 34 ページ: 357-364
10.1111/ger.12274