本研究の目的は、軽度認知障害(MCI)の者において食事や口腔の状態が全身状態に与える影響を検証することである。そこで国立長寿医療研究センターもの忘れ外来に来院したMCIの者を対象に、食事や口腔の状態と全身状態(認知機能や栄養状態、体組成など)との関連を他の認知症高齢者の特性と比較しながら検討した。その結果、横断的な解析では食欲の低下に関連する要因はアルツハイマー型認知症(AD)とMCIでは異なり、MCIでは食事中の注意が維持できないこととうつ状態が食欲と関連することが分かった。また、縦断的な解析によりMCIの者において食欲の低下は認知機能の低下を加速させる可能性が示唆された。
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