本研究は、長時間同一体位を強いられる際の、圧取り除きグローブを用いた安楽なポジショニングケアの開発につなげることを目的にしており、研究課題1および研究課題2を設定している。研究課題1は、介入プロトコルを作成するにあたり、圧取り除きグローブを用いた介入のタイミングや部位を明らかにすること、研究課題2は、圧取り除きグローブの介入による安楽性の効果を主観的側面と客観的側面の両側面から明らかにすることとしていた。 研究課題1について、同一体位時の苦痛の出現タイミングは、個人差を前提としつつ、苦痛が出現するまでの持続時間の平均は、46.5±15.5分であった。対象の安楽を保つためには平均的な限界の時間である45分程度での介入が必要であることが示唆された。苦痛の出現部位や症状の内容は、後頭部、腰部、踵部に圧迫感、痛みの出現であり、より介入が必要な部位である。 研究課題2について、主観的側面をVAS・身体症状の訴え、客観的側面を体圧分布として圧取り除きグローブによる安楽性の効果を検証した。結果、主観的側面では、一時的な安楽の効果は認められるものの、安楽性の持続的な効果に限界があることが明らかとなった。客観的側面では、各部位ごとの分析で、体圧分散が持続され、左右差なく安定していた。 令和元年度は、客観的側面で測定した体圧について、全身での時間経過による差や、接地面積について検証した。同一体位持続から1回目、2回目までのギブアップ時を測定したところ、2回目のギブアップ時の圧抜き前後で、有意に体圧の低下があった(p<0.05)。接地面積の割合は、開始時と比較し、2回目のギブアップ時の圧抜き後の方が、有意に増えていた(p<0.05)。1回目よりも2回目で圧抜きの効果を認め、圧抜き前後での除圧効果は、時間の経過がある方が表れやすいことが示唆された。本結果について、学術集会での発表を行った。
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