本研究の目的は、退院に伴う意思決定支援を担う病棟看護師と退院調整看護師を対象に各々の看護職の実践に基づいた役割認識を明らかにすることである。 今年度は、前年度までに実施した病棟看護師6名、退院調整看護師7名の計13名の看護職へのインタビュー調査の結果に基づいて、引き続き分析を行った。分析の結果から、それぞれの看護師の自己の役割認識と相手から期待されている役割認識に関する共通性と相違性、それぞれの看護師が相手に期待する役割の特徴が明らかとなった。また、同職種であるからこそ、それぞれの専門性を発揮しながら、互いに補完し合うことにより、患者や家族が退院後にどこで、どのように生きていきたいのかという意思決定を支える連携・協働した支援のあり方を検討することができた。 今年度の成果は国内の学会で口頭発表した。また、退院支援は意思決定支援であるとの視点から、近年注目されているアドバンス・ケア・プランニングの概念に着眼し、本研究と関連する内容として文献検討した結果を国際学会で発表し、論文投稿を行った。 本研究の成果は、執筆中の論文を投稿するとともに、今後は対象の拡大や、具体的な実践をさらに探求していくことにより、看護支援モデルの開発や教育プログラムの作成といった研究に発展させることができると考える。
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