研究課題/領域番号 |
16K20721
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
伊吹 愛 横浜市立大学, 医学部, 助教 (60738805)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 肥満 / 皮膚 / 経皮吸収 / 薬物代謝 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、肥満が薬剤経皮吸収に与える影響を明らかとし、肥満者を対象とした適正な経皮的ドラッグデリバリー方法の確立を目指すことである。 平成28年度は、ヒトの表皮組織を用いて、肥満度の上昇に伴う薬物代謝酵素の発現量の変化を 検討した。乳癌術後乳房再建術を受ける20-64歳の患者を対象とし、BMI25以上の肥満者とBMI25未満の非肥満者の2群に分類した。皮膚の薬物代謝に影響する因子を持つ者(65歳以上の高齢者、糖尿病、慢性炎症性皮膚疾患、過去2年以内に化学療法・放射線療法を実施した者)は除外した。乳房再建時に残余皮膚として回収される皮膚組織を用いて、経皮吸収に関与する代謝酵素であるCYP3A4等に着目し、条件検討および解析を進めている。現在、肥満者約15名、非肥満者70名の対象から基礎情報および皮膚サンプルを得た。 皮膚組織は免疫染色用とmRNA発現用の2つにわけ、mRNA解析用のサンプルは、皮膚組織をディスパーゼ処理し、表皮のみを分離した。免疫染色用のサンプルは凍結切片を作成した。現在、全対象者の凍結切片作成およびmRNA抽出が終了している。今後は、薬物代謝酵素に加えて皮膚バリア機能に関わる因子も含め、関連要因の免疫組織染色による皮膚内のタンパク質発現およびリアルタイムPCR法により、mRNA発現量を解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒトの皮膚組織からディスパーゼを用いて表皮のみを分離し、mRNA抽出を試みており、 その条件検討、および免疫染色を行う上での条件検討に時間を要しているため。
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今後の研究の推進方策 |
上記条件検討を進めながら、薬物代謝酵素に加えて皮膚の薬物代謝に関与する皮膚バリア機能に関わる因子の測定も進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は、皮膚の経皮吸収に関わる薬物代謝酵素の発現の評価において、当初予定していたin vitroの評価が、当初計画よりも条件検討等の理由により計画進行がやや遅れたため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、引き続き経皮吸収に関わる代謝酵素およびバリア機能の構成因子のタンパク質発現およびmRNA発現量の解析を行うための各種物品費および学会発表費として使用する。
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