研究課題
本研究の目的は、肥満者の皮膚生検組織を用いて、経皮的ドラッグデリバリーに関わる表皮バリア機能および皮膚内の薬物代謝酵素の発現動態を明らかにすることである。これにより、肥満度の上昇が経皮的ドラッグデリバリーの変化に与える影響を明らかとし、肥満者の皮膚特性を考慮した新しい経皮吸収方法の確立を目指す。平成30年度は、形成外科手術時に採取した対象者の皮膚組織からディスパーゼを用いて表皮を分離し、①表皮バリア機能に関わる因子(表皮セラミド、フィラグリン)、②臨床で頻用されているフェンタニルパッチの薬物代謝酵素であるCYP3A4発現量の解析を実施した。解析時には対象者を肥満群(BMI25以上)、非肥満群(BMI25未満)に分類し比較を実施するとともに、BMIの増加と各因子の相関解析を実施した。表皮内のセラミドの定量には液体クロマトグラフィー(逆相カラムを用いたグランジュエント分析)、フィラグリンは免疫組織染色法を用いて評価した。薬物代謝酵素CYP3A4はリアルタイムRT-PCR法を用いたmRNA量およびウエスタンブロット法を用いタンパク量を定量した。その結果、CYP3A4発現量は肥満群および非肥満群の2群間の解析において有意な差は認められなったが、BMIの上昇に伴いmRNAおよびタンパク質レベルで上昇する可能性が示唆され、肥満度の上昇が経皮的ドラッグデリバリーに影響を及ぼす可能性が示唆された。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
PLoS ONE
巻: 8 ページ: 1-13
10.1371/journal.pone.0193830. eCollection 2018