本研究の目的は、肥満者の皮膚生検組織を用いて、経皮的ドラッグデリバリーに関わる皮膚バリア機能および皮膚内の薬物代謝酵素の発現動態を明らかにすることである。形成外科手術時に採取した対象者の皮膚組織からディスパーゼを用いて表皮を分離し、①表皮バリア機能構成因子(セラミド、フィラグリン)、②フェンタニルパッチの薬物代謝酵素であるCYP3A4発現量の肥満の有無による発現量の差を解析した。その結果、肥満の有無によりセラミド量に差は認められなかった一方で、CYP3A4発現量はBMIの増加に伴い上昇する可能性が示唆され、肥満度の上昇が経皮的ドラッグデリバリーに影響を及ぼす可能性が示唆された。
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