研究課題/領域番号 |
16K20724
|
研究機関 | 島根県立大学 |
研究代表者 |
吉松 恵子 島根県立大学, 看護栄養学部, 助教 (30642657)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 訪問看護 / リスク管理 |
研究実績の概要 |
本年度は、インタビュー調査の結果の報告と教育プログラムの内容と評価方法について検討を行った。インタビュー調査の結果の報告は第23回日本在宅ケア学会学術集会にてポスター発表を行った。 インタビュー調査の結果、6名の管理者よりインタビューを実施し、対象者6名の平均年齢は54.3±4.2歳であった。管理者のリスク管理に対する認識は、7つのカテゴリーと28のサブカテゴリーから構成されていた。カテゴリーは「事業所としての質の保証」、「経験をいかした安全管理」、「リスクの予測と回避行動」、「リスク管理のための環境整備」、「生活の場での安全管理」、「他事業所との連携」、「現状への問題提起」であった。訪問看護ステーションにおけるリスク管理のためには、インシデント事例を医療安全対策につなげるために報告書の記載、インシデント事例について活発に議論できる安全文化に根付いた職場体制を整える必要があることが示唆された。 これらの結果をもとに、安全教育プログラムを作成した。2回の研修と各ステーションでの実践をおこなうこととし、1回目の研修内容は、①安全対策の基本(講義)、②事前調査から得られた情報提供(講義)、③インシデント事例の報告・活用方法の検討(グループワーク)とした。インシデント事例の報告・活用方法の検討では、インタビュー調査の結果をもとに作成した原案をもとに、訪問看護の特徴に合わせた様式と活用方法になるよう、検討することとした。各ステーションでの実践ののち、2回目の研修として、①インシデント報告の活用実践の報告(グループワーク)、②インシデント事例の報告・活用方法の再検討(グループワーク)とした。評価方法は、アンケート調査をプログラムの前後で実施、研修参加による認識の変化(グループインタビュー)とした。現在、所属機関の倫理審査を得て、研究協力者への依頼と日程調整を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
インタビュー調査を実施する際、事業所の人員不足などの諸事情により、インタビューに協力できる訪問看護管理者との日程調整に時間を要し、調査期間が延期した。また、事前調査の内容、現在のインタビュー調査の結果をもとに、訪問看護の安全意識を高めるために急がれる課題について、医療領域におけるリスク管理のみならず、他の職種で行われているリスク管理について情報を得る必要があり、先行研究や文献により他業種におけるリスク管理について文献検討を行った。それらの結果をもとに、安全教育プログラムの内容と評価方法、訪問看護師が参加しやすいプログラム方法を検討する必要が生じたため。
|
今後の研究の推進方策 |
令和元年度は、安全教育プログラムを6月に1回目の研修、10月に2回目の研修を実施予定である。その後、研究結果をまとめ、報告する予定である。 研修の実施に関して、訪問看護ステーションの人員不足等の状況により研究協力者の依頼が困難になる状況が予想されるため、研修対象者の選定や参加しやすい実施時期や場所等を考慮することとする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
<次年度使用額が生じた理由>事業所の人員不足などの諸事情により、調査や安全教育プログラムに協力できる訪問看護師との日程調整に時間を要し、調査期間が延期したため平成30年度に予定していた安全教育プログラム研修を本年度実施するため、次年度分として使用する必要がある。 <使用計画>調査内容の分析には訪問看護、リスク管理に関連した幅広い領域での知識が必要であり、研究進行に応じた関連図書の購入を予定している。また、研究成果を国内の学会で発表する予定とし、旅費および学会参加費として使用する。安全教育プログラムの研修の実施には会場費、講師料、研修会実施補助のための人件費等が必要である。
|