研究課題/領域番号 |
16K20727
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研究機関 | 宮崎県立看護大学 |
研究代表者 |
藏元 恵里子 宮崎県立看護大学, 看護学部, 助教 (30765839)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 感覚変化 / 顔面表出 / 観察技術 / 筋電図 / 画像解析 |
研究実績の概要 |
筋活動を視覚的に捉える手法として、筋電位トポグラフィ法(Myogenic potential topography)がある。この手法は、筋活動の部位や強さを色の濃淡で識別することができ、周波数帯域別の分析が可能である。 基本的な感情の作為的表情表出に伴う顔面筋活動の部位や強さの変化を視覚的に捉えることを目的に、顔面電位トポグラフィ法(facial myogenic potential topography)を用い、表情との関連性について検討した。 電極は、脳波測定で用いられる国際式10-20電極法を参考とし、鼻背の中央を中心として20個の電極を同心円状に顔面上に配置した。基準電極に両耳朶を用い、単極基準電極導出法により電位を導出した。電位の測定および高速フーリエ解析には、EEG-9100(日本光電)を使用した。 被験者18名に対し、無表情、笑顔、不快表情の指示を行い、トポグラムを作成し解析を行った。無表情では、全被験者において電位変化はみられなかった。笑顔では顔面下部に、不快表情では上部に電位変化がみられ、トポグラム上では色彩変化により可視化された。表情の種類にかかわらず、被験者によって、表情の表出が弱い、片方のみに変化が表れる場合が確認された。被験者2名は、不快表情の表出の指示で、トポグラムの下部に高い電位変化がみられ、笑顔と同様の表出パターンを示した。被験者1名は、笑顔と不快表情の表出のどちらにおいても、特異的な電位変化は観察されなかった。これらの結果は、顔面電位トポグラムの色彩と位置の変化から、個別の表情の特徴を客観的に評価できることを示した。被験者によっては、一般的な表情の表現型が異なる可能性も示唆された。 今後、感情刺激に応答する顔面の筋肉の活動について、トポグラムを用いて評価し、自然に表出される表情について、看護学的視点から検討したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、感情喚起画像の適用によるトポグラムの変化について、感情喚起の影響を丁寧に調べるために、追加実験を行う計画を立てている。これまでに収集したデータと突き合わせ、一定の結果を得られることから、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後、作為的表情によるトポグラム分析だけではなく、感覚変化による顔面表出を検討するために、感覚刺激の素材を選定する。味覚や嗅覚などの感覚は、個人の記憶や好みなどが影響することが知られる。感覚刺激を適用し、顔面電位トポグラムの分析を行い、これらの結果についてまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
作為的表情のトポグラム解析を行った結果、個別の表情の特徴について詳細解析を追加する必要があった。初年度に計測機器、実験器具等を選定し、次年度の実験に備える予定であったが購入に至らなかったため、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
顔面表出の変化を生理学的に評価できる実験機器や、画像解析のためのソフトウェアの購入が必要であると考えている。実験環境の最適化を図るために、軽量化されたオーダーメイドの電極一式を追加購入する予定である。また、次年度は、英文投稿を予定しており、未使用額はその経費として使用する。
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