研究実績の概要 |
本研究は「小1の壁」問題に直面した看護職員にインタビューを行い、看護職員のストレッサーと就業継続困難となったプロセスを明らかにすることを目的とした。研究対象者の選定は、一般女性労働者の養育する子供が小1(6歳)、小2(7歳)、小3(8歳)になると就業率が大幅に落ち込んでいたデータ(「労働政策研究報告書No.159,2013)を根拠に、5歳(就学前)、6歳、7歳、8歳いずれかの子供を現に養育していて、現在離転職を考えている看護職員。もしくは、3年以内に遡って当時、5歳~8歳の子供を養育し、離転職をした経験を持つ看護職員を選定し、最終的に4名を分析対象とした。分析は質的帰納的方法を用いた。対象者が語った内容を全て逐語録にし、National Institute for Occupational Safety and Health (以下NIOSH)モデルの「職場のストレッサー」、「個人的要因」、「仕事以外の要因」、「緩衝要因」に着目し元データの意味を解釈し30字程度要約した(コード化)。次に類似するコードを集めてサブカテゴリ―を作成し、サブカテゴリ―の相違点と共通点を比較分類してカテゴリーを作成した。分析の結果22のサブカテゴリ―と4カテゴリーが抽出された。子供の小学校への就学に関連する主なストレッサーとしては【授業参観に出席するための日程調整】、【PTAなどの小学校での役割とその調整】、【子供の夏休み期間中の対応】、【突然の小学校休校に伴う勤務の調整】、【学童保育の時間制限】、【小学生になった子供に対する親としての関わり方の変化】、【幼稚園・保育園から小学校への環境の変化】、【子供の通学時の心配】、【宿題のチェックや翌日の準備】等が明らかとなった。
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