本研究の目的は、周手術期食道癌患者の入院から外来治療の一連の過程において、経時的栄養評価と患者の回復過程との関連を明らかにすることである。食道切除術を受けた患者20名を対象とし、栄養投与経路別(経口投与、経鼻・経腸投与、経静脈投与)にモニタリングし、客観的データ(投与量または摂取量、体組成、血液データ、術後合併症の有無、看護必要度)との関連を検討した。その結果、入院中(周手術期)は、栄養状態と患者の回復過程(体組成)は、①BMIが高値(BMI≧25)の患者は、低値(BMI<25)の患者と比較し、骨格筋量が多く、手術後も骨格筋量を維持できていたこと、②骨格筋量の維持と手術後の看護必要度(手術後3、7、14日後に経時的に評価した)は、関連が低いことが示唆された。退院後の栄養評価は、退院後に体重を維持する群と手術前の体重と比較して、退院後の6か月間以内に-8㎏以上減少する群を比較し、検討した。その結果、患者の栄養状態は入院中の術後合併症(誤嚥性肺炎および反回神経麻痺)の有無と関連があった。 周手術期食道癌患者の入院から外来治療の一連の過程において、経時的栄養評価と患者の回復過程の関連は、反回神経麻痺や誤嚥性肺炎の経口摂取に影響を及ぼし得る術後合併症が栄養状態に影響を与える可能性が考えられる。これは食道癌患者の周手術期に、看護師は栄養状態のモニタリングにに加えて反回神経麻痺や誤嚥性肺炎の経口摂取に影響を及ぼし得る術後合併症の観察の重要性を示唆した。
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