2型糖尿病患者における運動の楽しさに関して、いくつか明らかになった。2型糖尿病患者の運動における楽しさを構成している要素として、「家族・仲間の共同」「同じ病を抱える仲間とのコミュニティの存在」、「医療者との良好な関係性」、「運動効果の実感」が明らかになっていたが、その他として「目的を持って取り組む」ことが挙がってきた。 2型糖尿病の患者に関するインタビューから出てきた運動の種類では散歩や歩行といった歩くことに関することが多かった。これに関しては、その他の2型糖尿病患者の運動に関する研究でも同様の結果が出ており、同様の結果となった。インタビューの中で患者から「季節を感じられるようコースを変えている」との発言があり、自分なりの目標を設定し運動療法に取り組んでいる例があった。また、歩くことは多くの場合外部環境との接触による社会、地域とのコミュニケーション機会の増加や、自然などに触れることによる五感体験の拡大といった効果が考えられる。さらに、フロー理論において、人が楽しさを感じる要素の1つとして、挑戦と能力が釣り合っていることが挙げられている。この患者の例では、自身の運動習慣や運動能力と漠然と決められた運動量をこなすという目的よりも、季節を感じながら運動したいという目標が釣り合っていたことで、運動をすることが楽しいと感じることにつながったといえる。「目的を持って取り組む」ことが楽しさにつながるということが分かった。
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