研究実績の概要 |
本研究では、閉経前子宮頸がんの女性を対象に倦怠感の特徴を明らかにした。調査対象は7名で、平均年齢40.7歳(SD5.2)、進行期はTMNⅠb1~Ⅱa2であった。対象者は術前から身体的な症状を生じており、頻度の多い順に、腰痛、痛み、頻尿、おりもの、ほてりや発汗であった。通常と異なる倦怠感を6名(85%)が感じていた。倦怠感による生活への支障では、「生活を楽しむこと」、「気持ちのだるさ」、「通常の仕事(家庭外や生活の雑事を含む)」で得点が高かった。倦怠感マネジメントで実施が多かった項目は「だるさの少ない時に仕事や家事を行う」と「ゲームや音楽、社会活動など気晴らしへ参加する」であった。睡眠の質が低かったのが4名で、不安・抑うつの症状があるものがそれぞれ5名と3名であった。睡眠の質は、倦怠感の重症度と有意な相関を認めた。不安・抑うつは倦怠感による生活の支障と有意な相関を認めた。活動量の測定では一日の平均歩数は5063.8歩/日(SD2332.9, range1144-8438)であった。身体活動は倦怠感と負の相関関係を認めた。日常生活活動でのエクササイズ量は、倦怠感を強く認識しているもので少ない傾向にあった。活動量は気持ちのだるさ、通常の仕事のだるさ、生活を楽しむことのだるさと負の相関関係にあった。 研究結果から、倦怠感は治療に臨む前に生じており、睡眠の質、不安・抑うつと関連していた。また日常生活における活動を妨げる要因となっている可能性が示唆された。本研究から得られた結果は、子宮がんの女性の倦怠感を軽減するための看護支援を検討する基礎資料となり、将来の看護介入に役立つことが期待される。今後は縦断調査から介入調査へと展開し、若い世代のがん患者の治療と社会的活動の両立につながるような介入プログラム開発を検討する。
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