本研究は、タブレット端末用の双方向型遠隔看護システムを開発、在宅療養中の慢性呼吸不全患者への効果検証を行い、遠隔看護支援プログラムの構築を目的 とした。具体的には、①タブレット端末機器で操作可能な双方向型遠隔看護システムの開発を行う。②開発した遠隔看護システムを用いて、身体活動量やバイタ ルサインなどの身体状況の可視化を通じ、慢性呼吸不全患者のセルフケア能力および身体活動量向上を検証していくことである。 今年度は主に身体状況の可視化を用いた双方向型遠隔看護プログラムの効果検証に取り組んだ。遠隔看護プログラムは、研究者が予備調査の結果と文献的考察に基づき開発した遠隔看護システムを用いて、慢性呼吸不全患者が個々の心身の状態に応じて、主体的にセルフモニタリングと症状への対処行動などのセルフマネジメントを生活に組み込み、急性増悪を予防する看護介入プログラムとした。主な実施内容は、①対象の日々の身体状態を遠隔地でモニタリング、②対象の日々の生活を送る上での疑問点や問題点に対する健康相談、呼吸器症状が軽減するための生活習慣やセルフマネジメントに関して情報提供を行った。 研究協力機関に依頼し対象者の確保を行い、非侵襲的陽圧換気療法を行っている慢性呼吸不全患者32名に臨床試験を行った。評価指標としては、COPD における疾患特異的な健康関連QOL 尺度であるSt. George’s Respiratory Questionnaire(SGRQ)、客観的な指標として、活動量計メディウォーク(テルモ社製)を用いた身体活動量、呼吸機能検査値を測定し、3カ月後、6カ月後に効果検証を行った。
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