研究課題/領域番号 |
16K20758
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 郁美 福島県立医科大学, 看護学部, 助教 (40736724)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 死後の処置 / 在宅看護 / 訪問看護師 / ターミナルケア |
研究実績の概要 |
在宅での看取りにおいて、死後の処置を担うのは訪問看護師である。死後の処置はもともと遺族や親戚の仕事であったが、病院死の急増に伴い看護師が死後の処置を担わざるを得ない状況になっていった。死後の処置は見直しが進み、従来の処置方法に効果がないと指摘されているが、看護教育用書籍での死後の処置の項目の見直しは進んでいない。加えて、死後の処置に関する教育は全体の24.8%が未実施という報告もあり、看護師の多くは死後の処置を臨床経験から学んでいるという現状にある。また、在宅看護の場合、単独でケアを行うことが多く、看護師個人の経験や知識によって死後の処置方法に差があることが予測される。今後、在宅緩和ケアの需要が増えると予測され、より一層在宅での看取りの質の向上が求められている。 以上の点から、本研究は在宅での死後の処置とケアの現状を調査し、その結果をもとに訪問看護師を対象とした死後の処置に関する研修を行い評価することで、在宅での死後のケアの課題を検討することを目的としている。 平成29年度までは、質問紙を作成しその内容が妥当であるか、研究者の所属する大学の教員や大学院生、訪問看護事業所に勤務するがん看護専門看護師にプレテストを行った。また、福島県内の訪問看護施設に勤務する看護師を対象に、死後の処置やケアの方法に関する質問紙調査を実施した。研究中断期間には本調査の概要のまとめと、近年の動向に関する文献による検討を行った。 本研究により、現場で働く訪問看護師の多くは従来型の処置方法を現在も実施しており、エビデンスと実際の処置方法には開きがあることが明らかとなった。また、看護師は死後の処置後ご遺体を見る機会が少なく、自身の行った死後の処置方法が正しいのか判断しかねるといった臨床的意見も明らかとなっており、今後は葬儀関係者を交えた研修会の開催などの検討の必要性が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年3月まで育児休業を取得し、研究を中断する必要のある期間があった。質問紙の調査項目の妥当性、死後の処置の実際にかかわる項目の吟味などの検討に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
福島県内の訪問看護施設に勤務する看護師から回収された質問紙の詳細な解析を行う。具体的には、訪問看護師経験年数と死後の処置の研修参加希望の傾向について、自由記述より訪問看護師が必要としている死後の処置の知識について明らかにする。得られた結果は学会および学術雑誌等で報告する。また、その内容をさらに吟味し、葬儀関係者へのインタビュー調査、関連文献の検討を踏まえ、在宅看護における死後の処置の見直しに向けたプログラムの構築に向ける。
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次年度使用額が生じた理由 |
産休、育休のため研究を一時中断していた。 今年度は学会発表等に要する経費、学術投稿に要する経費として使用する。
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