研究課題/領域番号 |
16K20760
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川上 明希 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (00734021)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 潰瘍性大腸炎 / 電話相談 / 再燃 |
研究実績の概要 |
今年度は、潰瘍性大腸炎患者を対象とした再燃予防のための電話相談支援プログラム作成に先駆け、患者および医療者から重要な支援内容を集約した。 まず、先進的に電話相談支援を行っている英国の看護師にどのような支援が特に患者からのニーズが高いかヒヤリングを行った。調査した病院は、英国のSt Mark's HospitalおよびKing's College Hospitalである。その結果、血便や排便回数増加などの体調悪化徴候出現時に病院に受診すべきタイミングに関する相談、体調悪化時の薬剤の調節に関する相談が特に相談ニーズが高いことが明らかになった。 電話相談の運用システムは、病院によりばらつきがあることが看護師へのヒヤリングで明らかになった。多くの施設では患者が相談内容をボイスメッセージで残し、後ほど看護師から患者に電話をかけなおして対応していることが明らかになった。その理由として、患者の相談内容に対し、看護師がアセスメントと支援内容の検討に時間を設ける必要があるということであった。一方、これらの運用方法について、患者側からは相談してから返事がくるまで時間がかかるので、電話をしたら直接看護師に相談したい、というニーズがあることが明らかになった。 次に、日本の潰瘍性大腸炎診療を専門とする医師および看護師に電話相談支援の適用可能性についてヒヤリングをした。その結果、多数が導入可能であるとの回答であったが、一方で、直接患者を診ないで薬を調整することについては大きな抵抗があり、英国での遠隔による薬剤調整の現状について詳しく調査し、適用可能性を検討していくことになった。 これらの現状をふまえ、日本で実施可能な支援方法を次年度以降検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画どおり、英国での電話相談支援の現状を把握できた。また、現在は支援を受ける側の患者への意識調査を英国で行っており、データがそろい次第解析する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、計画どおり日本の現状に即した支援プログラムを作成していく予定である。日本炎症性腸疾患研究会のメンバーに協力を得ながらプログラム開発を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費については、他所より費用捻出可能となったため使用しなかった。一方、年度途中より所属が変更になったため、パソコン購入など物品費に多く金額を費やすことになった。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度は、今年度に引き続き英国での電話相談支援導入について詳細な実態調査をすることを含め、日本での支援プログラムの開発、成果の報告などについて使用していく予定である。
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