本邦の炎症性腸疾患患者(Inflammatory Bowel Disease、以下IBD患者)へ看護師主導による電話相談システムを先駆的に実施しているIBD専門病院1施設を対象に、電話相談内容と相談に対する看護師を含む医療者の対応を診療録および相談調査メモを用いて調査した。調査期間は2018年12月~2019年12月であった。主な調査内容は、相談日、相談者、疾患、治療内容、相談内容、相談に対する対応であった。相談内容は予備調査をもとに8つにカテゴリ化し、調査者が相談調査メモを参照してカテゴリ化した。 相談件数は延べ584件であった。疾患はクローン病が多かった。相談者は本人が491件(84.1%)と最多で、次いで家族が53件(9.1%)であった。相談内容では、IBDに関する体調悪化に伴う相談または経過報告に関するものが281件(48.2%)と最多で、次いでIBD以外の体調悪化に関する相談または経過報告に関するものが203件(34.7%)、体調悪化以外の相談が90件(15.4%)であった。主な体調悪化以外の相談内容として、受診日の変更、食事内容の調整、薬の飲み合わせ、転居に伴う転居先の受診先の紹介依頼などが挙げられた。体調悪化に関する相談に対する対応としては、受診を早めてもらうこと、手持ちの注腸薬またはアミノサリチル酸製(内服薬)の量を増やすこと、栄養成分療法の頻度を増やすこと等が挙げられた。
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