本研究は、認知症とがんを併せ持つ高齢者とその家族の看護に対する評価を明らかにすることを目的とした。システマティックレビューでは11文献を分析し、認知症とがんを併せ持つ高齢者に対しては、微細な反応をキャッチし、個人の意向を推し測り、患者のペースを尊重したケアを基盤に、がんの症状や治療・処置に関わる不快な感覚を予防的に取り除く看護が重要であることが示された。また、同居家族へのインタビューでは、認知症の進行により症状の把握が難しい、休みなく続く介護の苦悩が語られ、看護に対しては、体調変化の観察や排便コントロール、痛みのコントロールの些細な相談がしやすい一方、在宅療養に至るまでの社会資源の紹介と整備のタイミングが合わない、医師からの説明の不足や機会の調整への支援が不足しているという評価が得られた。
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