研究課題/領域番号 |
16K20767
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
庄司 麻美 高知県立大学, 看護学部, 助教 (00737637)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 全人的呼吸困難感 / 肺がん / アセスメントツール |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、呼吸困難感を体験している肺がん患者の全人的呼吸困難感の看護アセスメントツールを開発することである。 平成28年度は、文献検討により、肺がん患者の全人的呼吸困難感を捉えるアセスメントの視点および関連要因を明らかにすることを目的とした。医学中央雑誌web版、CINAHLおよびMEDLINEを用いて、国内外の文献検討を行った。「呼吸困難感/dyspnea/breathlessness」「肺がん/lung cancer」をキーワードに検索し、対象が肺がん患者で、呼吸困難感の現象や関連要因が記述されている14文献を中心に検討した。また、二次文献として、既存の呼吸困難感の評価尺度やガイドライン等アセスメントに関連する書籍を対象に含めた。 文献検討から、肺がん患者の呼吸困難感の関連要因として、胸水や心疾患などの器質的な要因、咳や痛み、不安や抑うつなどの身体・精神症状の他、PSやストレス対処能力の影響が明らかになった。また、肺がん患者の全人的呼吸困難感を捉えるアセスメントの視点として、病態、身体的・心理的・社会的・スピリチュアルな体験、関連要因、誘発因子、生活への影響、患者の対処方略が明らかになった。特に、肺がん患者の呼吸困難感は、咳・倦怠感とともに、呼吸に関連する苦痛症状クラスターとして存在していることや痛みとの関連が明らかにされているため、呼吸困難感だけでなく症状全体に着目し、呼吸困難感との関連性のアセスメントが必要であると考えられた。 平成29年度は、呼吸困難感を体験している肺がん患者の全人的呼吸困難感に対して、質の高い看護を実践している看護師のアセスメントを明らかにし、今年度の取り組み結果と併せてアセスメントツールの項目の抽出、構造化に取り組む予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
肺がん患者を対象に呼吸困難感の現象や関連要因を明らかにした国内の先行研究が少なく、国外の文献およびガイドライン等の収集・分析を行う必要があった。そのため、当初計画していた期間よりも文献検討に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
文献検討の結果をもとに、呼吸困難感を体験している肺がん患者の全人的呼吸困難感に対して、質の高い看護を実践している看護師のアセスメントを明らかにするために、インタビューガイドの作成段階である。今後は所属施設および研究協力施設の倫理審査を受審し、データ収集、分析に計画的に取り組む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度の調査の協力依頼・実施に経費が必要であるため、今年度の使用を節約し次年度にあてることとしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度の計画として、呼吸困難感を体験している肺がん患者の全人的呼吸困難感に対して質の高い看護実践を行う看護師のアセスメントを明らかにするために面接調査を行う予定であり、調査・分析過程に適正に使用する。
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