本研究の目的は、呼吸困難感を体験している肺がん患者の全人的呼吸困難感の看護アセスメントツールを開発することである。2019年度は、前年度に、専門看護師5名と認定看護師2名を対象として、全人的呼吸困難感を体験しているがん患者の苦痛緩和に向けて、どのようなアセスメントを行っているかを明らかにすることを目的とした調査結果の分析を進めた。 練看護師が行う全人的呼吸困難感を体験しているがん患者の苦痛緩和に向けたアセスメントとして、【病状を把握し今後の経過を予測する】【呼吸困難感が身体・心理・社会・スピリチュアルな側面に及ぼす影響を評価する】【呼吸困難感の多様な要因の相互作用を評価する】【適切な薬剤・投与方法を判断する】【常にせん妄の発症や鎮静の必要性を予測する】【苦痛の中で少しでも安楽が得らえる環境を探る】【実現可能な患者の希望を見極める】が抽出された。全人的呼吸困難感を体験しているがん患者の苦痛緩和に向けたアセスメントにおいて、患者の病態把握と経過の予測、促進可能なComfortニードの判断、患者のQOLを重視したアセスメントを統合し、患者にとっての最善を判断することが重要になると示唆された。 これらの調査結果および既存の文献検討から、呼吸困難感を体験しているがん患者の全人的呼吸困難感の看護アセスメントツールにおいて、病態把握と経過の予測に関する項目、全人性と相互作用から呼吸困難感を評価する項目、症状マネジメントに向けた項目、患者の対処やもつ力を評価する項目、ComfortとQOL評価に関する項目、潜在する問題・課題に関する項目が必要であると考えられた。今後看護アセスメントツールを作成し、妥当性および臨床活用の有用性を検証していく必要がある。
|