研究課題/領域番号 |
16K20769
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研究機関 | 武蔵野大学 |
研究代表者 |
小町 美由紀 (長谷川美由紀) 武蔵野大学, 看護学部, 講師 (60459641)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 家族機能 / 家族関係尺度 / 家族看護 / 実態調査 / 集中治療室 / 心的外傷性ストレス症状 / レジリエンス |
研究実績の概要 |
本研究は、心的外傷性ストレス症状 (Posttraumatic Stress Symptoms: PTSS) を呈した家族の精神状態が、いかなる要因によって影響され変化するのかを定量的に明らかにすることを目的としている。 2018年度は、継続して行っている調査結果を用いて、集中治療室に入室した患者の家族の精神症状が家族機能に及ぼす影響に焦点を絞り、定量的に解析を行った。さらに、精神的負担が大きい家族の家族機能に関する先行研究を中心に文献検討を行った。 その先行研究の中で、本研究と同様の家族機能尺度を使用している心理療法研究の研究結果を用いて、本研究の家族機能の評価に外挿した。その結果、精神的負担が大きい家族の程度が明らかになった。集中治療室に入室した患者の家族の61%が支援を必要としている程、家族機能が悪化していた。中程度の家族機能を有している家族は39%で、家族機能が良好な家族はいなかった。さらに家族機能が悪化している家族ほど、困難な状況を乗り越える力であるレジリエンスが低いことが明らかになった。今後は、定量的解析を進めて、どのような要因が家族機能を悪化させるのか、また良好な家族機能を維持できる要因は何かを明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの研究成果をもとに結果を取りまとめている。現在、論文作成を行っているが、年度内に結果をまとめて、投稿、学術誌の受理をすることができなかった。そのため、今後も継続して解析を進めて、論文作成および学術誌への投稿を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で集中治療室に入室した患者の家族は長期間重症な心的外傷性ストレス症状を呈している者がいるものの、入室時点で精神症状が軽症の家族はレジリエンスが高いことが明らかになった。レジリエンスは心的外傷性ストレス症状の緩衝要因として注目されているが、集中治療室に入室した患者の家族のレジリエンスが、どのように精神症状に影響を及ぼすのかは不明である。そのため、家族のレジリエンスと心的外傷性ストレス症状の変化を明らかにし、家族のレジリエンスが精神症状に及ぼす影響を明らかにする。そしてこれらの研究成果は今後予定している「家族支援に関するプログラム開発に関する研究」を実施するための基礎資料とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでの研究成果を取りまとめて論文作成に取り組んでいるが、定量的解析および論文執筆が終わらなかったため、次年度も継続して論文作成および投稿を行っていく。
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