研究実績の概要 |
本研究の目的は,心房細動患者の抱える重大な合併症である脳梗塞発症を防ぐために,必要とされている抗凝固薬の内服を継続するための支援を検討し,その具体的な方法について見出すことであった. 看護師が外来での関わりの中でより効果的に関わるために,服薬行動の継続が難しくなりそうな対象者をスクリーニングし,支援が必要となる対象者に個別の支援をすることが有効な方法の一つではないかと考えた.その結果,スクリーニングを実施するためのスクリーニングシートの作成を行った.対象者に関わるどのような要因が服薬行動不良につながるのかについて,先行研究および対象者に関わる医療スタッフからのインタビュー,循環器看護の専門家からの視座によりリスク項目を抽出し,40項目からなるスクリーニングシート案を作成した. そのシートを使用した実際の対象者への調査を行い,現在収集できたデータを解析しつつ,スクリーニングシートの項目の検討を行っている.検討後最終的なスクリーニング・シートを作成し,項目の妥当性などの検証を行って行く予定である. 本研究で作成したスクリーニングシートを用いることによって,心房細動患者で抗凝固薬の服薬が必要となった対象者に対して,服薬開始の初期の段階で医療者の介入が必要となるリスクの高い対象者をスクリーニングでき,より対象者にあったケアを,早期の段階で効率的かつ重点的に提供するための一助となると考える. このような早期段階での医療者による支援は,服薬行動が継続できないことによる心原性塞栓性梗塞の発症リスクを低下させるとともに,薬剤の飲み忘れを予防することに繋がる.その結果今後益々増大するといわれている医療コストを抑制させる可能性があると感考える.
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