1.実施概要:小児がん経験者の疾患認知が就労状況・職務パフォーマンスに関連するかを明らかにすること、小児がん経験者の就労状況・職務パフォーマンスといった社会参加・活動を向上する上で、疾患認知に着目した就労支援プログラムを検討することを目的とした。平成30年度は、小児がん経験者の疾患認知として心的外傷後成長 Posttraumatic Growthに着目し、一般の大学生を対象とした心的外傷後成長に関する測定尺度の開発、および心的外傷後成長と社会参加・活動の質の関連を検証し、その成果を学会発表および専門誌への投稿を行った 2.実施内容:心的外傷後成長を測定する尺度として、Posttraumatic Growth Inventory-X(PTGI-X)が適当であると考えられ、平成30年度にPTGI-X日本語版の妥当性・信頼性の検証を行った。結果として、PTGI-Xは日本人を対象にしたとしても十分な信頼性・妥当性を確保できると解釈され、令和1年度にその成果を論文としてまとめ、専門誌に投稿した。また、大学生・大学院生から得られたデータを用いて、心的外傷後成長と社会参加・活動の関連を検討した。解析の結果、PTGI-Xのうち、新たな可能性 New Possibilitiesのドメインは社会参加・活動と関連していた。このため、社会参加・活動の質を向上する上で、心的外傷後成長における新たな可能性 New Possibilitiesに着目する重要性が示唆された。この成果については、専門誌上での掲載に向けて論文を現在執筆している。
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